![]() ********************************************************************** 周囲の国々では戦争が続いていた。 多くの人が戦場に出向き、多くの武器持たぬ人々がその魂を散らしていく。 そんな時代。そんな悲しい世界。 その中で、中立を守り、平等を重んじる国がある。 この国だけは、戦争に関与をせず、人種差別もない。 中立を保つことで、その国は唯一守られるべき楽園を守っていた。 その国には言い伝えがある。 遠い昔、世界の救世主となった少女が、最期に眠る場所として選んだ地がその国のどこかに今もあるという言い伝え。 場所は定かではない。 だが、その言い伝えが、この国に中立という立場を取らせる唯一の理由。 誰もその目で見ていない少女の眠る……小さな大地。 少女は救った。 この世界を。 悲しみを。苦しみを。 その小さな体1つに引き受けて、眠りについたのだ。 その精神を引き継いで、国は中立国家となった。 たとえ、それが捻じ曲げられた国家精神であったとしても、もう同じ過ちを繰り返すまいと。 戦争が続いていた。 多くの殺戮。多くの蔑みと共に。 けれど、この国はまだ中立を守り続ける。 差別などいらない。 戦いなどいらない。 せめて、この国の民だけは平和に身を置けるようにと。 ********************************************************************** |
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